注意・指導の回数にも気をつける必要があります。最近よく上司の方から聞くのが、「パワハラになるといけない
ので指導がしにくい」というご意見です。指導とパワハラの違いという部分は、いつも問題になる部分です。
上司は、指導のつもりでも、部下からは、パワハラと捉えられることがあるからです。その多くには、「言い方」と
「回数」ということがよく言われています。そこで、回数ですが、指導とパワハラの境界がどこにあるのか?というと
「執拗に回数を重ねていなかったか?」というところです。要するに「何度も同じことを繰り返すようなしつこい
(嫌味な)指導」になっていなかったかということが問われることがあります。 例えば、ずっと前に伝えたことを
嫌味のように「あの時もこうだったよな~」や「以前こうだったからまたやったの ではないか?」などです。
こうなるといくら部下が改めようとしても以前のことを出されると「改めようがわからない」や 「上司は、自分を
認めてくれない」ということになり、結果的に「嫌味を言われた」という不本意な結果になってしまいます。
また、回数を重ねることによって、最初は、部下のために「叱る」だったものが、回数を重ねることで「叱責」に
変わり、 最後は、上司の感情が入ってしまい「怒る」に変化してしまうのです。そうなるとせっかく「部下のために」
と思っていたことが、「自分のため=保身」ととられることになってしまいます。 また、上司の方からは、「何度も
同じ間違いをしているから何度も繰り返すことになる」ということもあります。同じことを 何度も言いたくなくても
言わざるを得ない状況が作られてしまうこともあります。
そこで、前回の「適切な時間を意識する」 ところでもお伝えしましたが、伝える内容、すなわち、「問題点や具体的な
改善が明確になっているか?」を振り返ってみて ください。また、以前のことを引っ張り出し嫌味のように言う前に、
「何度も言っているだろ!」という前に、「部下には、 こちらが言うことを理解できているかどうか?」という部分に
疑問を持つことも大切です。そのためには、問題点を指摘し、 具体的な改善をきっちりと伝えた後は、しばらく部下の
様子を見るようにしましょう。そして、こちらの伝えたことと違う ことになっている場合は、「問題点や改善点が伝わって
いないのか?」それとも、「部下にとって、具体的な改善ができない のか?」を確認することが必要です。同じことを
何回もネチネチ・ダラダラ注意するのではなく、定期的に面談して、改善状況やどこまで理解ができているかを確認する
ことで何度も同じ注意をする必要がなくなるかもしれません。
ぜひ、せっかくの指導がパワハラと受け止められないように問題点や改善策を明確にしていきましょう。
次回は、 パワハラと誤解されないための「7つの指導ポイント」
⑥態度や言葉遣いの見直しをする。
このポイントに合わせた詳細を解説していきます。